重要文化財
勧学院客殿障壁画
狩野派嫡流を継ぐ光信の代表作
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国宝・勧学院客殿の南側二部屋には、桃山時代を代表する障壁画が残されています。作者の狩野光信は、織田信長や豊臣秀吉の絵師として活躍をした狩野永徳の長男で、父と共に安土城の障壁画制作にも携わっています。永徳の死後も豊臣家や徳川家の求めに応じて作品を制作しています。
なかでも勧学院客殿の一之間を飾る金地著色・四季花木図(十五面)は、狩野光信の代表作であるばかりか桃山障壁画の最高傑作として高く評価されています。
正面の大床には滝と雪山の冬景色が描かれ、画面は右回りに梅、桜と季節は春に移り、やがて水辺の石楠花、さらに南側の舞良戸には紫陽花、菖蒲、紅葉と夏から秋へと四季の移ろいを光信ならではの静謐で優美な表現にまとめ上げています。
また、二之間の紙本著色・花鳥図(二十四面)は、北西隅から左右に枝を延ばす松を構図の中心に据え、その下には山鳥や鴨、鴛鴦、さらに竹に雀、岩に鶺鴒(セキレイ)、水辺の芦に鷺などの鳥が描かれ、山野の自然が清新な感覚で表現されています。